個人事業主として活動を始めると、まずぶつかる壁の一つが「経費の管理」です。
確定申告のときに「これは経費で落とせるのか?」「このレシートは取っておいた方がいいのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、個人事業主が知っておくべき「経費になるレシート」と「経費にならないレシート」について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。この記事を読めば、レシートを見た瞬間に「経費にできるかどうか」が判断できるようになるはずです。
1. そもそも経費とは何か?
経費の基本はとてもシンプルです。
国税庁の定義によれば、経費とは**「収入を得るために直接必要な費用」**のこと。
つまり、
・仕事をするために必要なもの
・売上につながる活動に関係するもの
であれば、基本的には経費として認められる可能性があります。
一方で、プライベートな支出や事業と無関係な出費は経費になりません。
この「事業と関係あるかどうか」が、レシートを仕分けるときの最大のポイントです。
2. 経費になるレシートの具体例
2-1. 事務用品・消耗品
・ノート、ボールペン、コピー用紙
・プリンターのインク、ファイル
これらは事業活動を行う上で必須のもの。ほぼ間違いなく経費にできます。
2-2. 通信費
・スマホ料金(事業用の割合)
・インターネット回線費用
事業で使う分は経費にできます。プライベートと兼用の場合は「按分(あんぶん)」といって、事業用と私用を割合で分けるのが一般的です。
2-3. 交通費
・電車やバスの乗車券
・タクシー代
・出張時の新幹線や飛行機代
移動が事業に関連しているなら経費にできます。
2-4. 接待交際費
・取引先との打ち合わせで使ったカフェ代
・顧客との会食費用
ただし「友人とただ飲んだだけ」はNG。誰と何のために使ったかをメモしておくと安心です。
2-5. 光熱費・家賃の一部
・自宅を事務所にしている場合の電気代・水道代
・家賃の一部
こちらも通信費と同じく「按分」が必要。仕事で使うスペースの割合や時間を考えて計算します。
2-6. 書籍・セミナー代
・事業に関連するビジネス書
・スキルアップのためのセミナー受講費
ただの趣味本は経費になりませんが、業務に役立つと説明できれば経費扱い可能です。
3. 経費にならないレシートの具体例
では逆に、どんなレシートが経費にならないのか。よくある例を紹介します。
3-1. 明らかにプライベートな支出
・家族で行ったレストラン代
・旅行の観光費用
・日常のスーパーでの食材購入
これらは事業との関係性がないため経費にはできません。
3-2. 贅沢品・高額なブランド品
・高級腕時計
・ブランドバッグ
「仕事に必要」と説明できる余地があっても、税務署から指摘される可能性が高いものは避けた方が安全です。
3-3. 税金や罰金
・住民税や所得税の納付書
・交通違反の罰金
税金の一部(消費税や事業税など)を除き、所得税や住民税などは経費になりません。
3-4. 個人的な医療費・保険料
・病院代
・生命保険や医療保険
これらは「必要経費」ではなく「所得控除」の対象となるため、経費にはできません。
4. レシートを経費として認めてもらうための工夫
経費になりそうなレシートを集めても、証拠力が弱いと否認されるリスクがあります。そこで、以下の工夫が役立ちます。
4-1. レシートは必ず保管する
クレジットカードの明細だけでは不十分な場合があります。購入内容がわかるレシートを必ず残しましょう。
4-2. 用途をメモしておく
・「〇〇社との打ち合わせで使用」
・「Webデザインの参考書として購入」
といった簡単なメモをレシートに書くだけで、経費性を証明しやすくなります。
4-3. 領収書がもらえない場合は出金伝票を作る
自動販売機でのコーヒー代や個人タクシーなど、レシートが出ないケースもあります。その際は「出金伝票」に日付・金額・用途を記録しておくのが有効です。
5. 経費になるか迷ったときの判断基準
最終的に、「経費になるかどうか」を決めるのは税務署です。
しかし、日常的には以下の質問を自分に投げかけてみてください。
- その支出は事業の収益に関係しているか?
- 他人に説明して納得してもらえるか?
- プライベートな支出ではないか?
この3つを満たしていれば、経費として認められる可能性が高いといえます。
まとめ:レシートを味方につけて経営をスムーズに
個人事業主にとって「経費になるかどうか」の判断はとても重要です。
・事業に必要な支出=経費
・私的な支出=経費にならない
この原則さえ押さえておけば、レシートを仕分けるときに迷うことは減るでしょう。
さらに、レシートにメモを残したり、出金伝票を用意したりすることで、万が一の税務調査にも安心して対応できます。
日々のレシート管理をおろそかにせず、「これは経費にできる!」と自信を持って申告できる状態を作っていきましょう。

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